世界最大級の引退馬コンテスト、サラブレッド・メイクオーバー
近年話題になっている引退競走馬の支援と活用。
競走馬として人々を楽しませてくれた馬たちの引退後に、注目が集まっています。今回は国外に目を向け、海外の引退競走馬支援についてご紹介します。
<世界最大級の引退馬コンテスト>
サラブレッド生産頭数が世界一の競馬大国・アメリカ。ここでは世界最大級の引退馬コンテストが開催されています。
その名も、サラブレッド・メイクオーバー!
メイクオーバーとは「大変身・改造」を意味し、まさに引退馬の大変身ぶりを競うイベントです。エントリーできるのは、レース引退後、10ヶ月未満の再調教を受けたサラブレッドたち。イベント開催の3日間、約1400万円の賞金をかけて競い合います。
<目指せ!引退馬チャンピオン!>
エントリーした引退馬は、競馬以外の種目で、セカンドキャリアの実力を競い合います。1頭につき1〜2種目に出場でき、バレルレース、コンペティティブトレイル、総合馬術、馬場馬術、障害馬術、ポロ、牧場作業、フィールドハンター、ショーハンター、フリースタイルの10種目から選ぶことができます。
各種目で上位争いが繰り広げられ、5位以内の馬は決勝戦へ。決勝戦では審査員が馬を評価し、最高得点を獲得した馬が見事チャンピオンとなります!そして、チャンピオンには約110万円の賞金が贈られます。
また、観客が投票できる一般審査もあり、一般賞に輝いた馬は引退馬支援関連団体へのセカンドキャリアが約束されています。この他にも、会場では再調教済みの引退馬の取引が行われたり、買い物で支援できるチャリティーコーナーがあったりと、様々な支援の形が詰まっています。
<引退馬コンテストの運営と資金>
こんなにも盛り沢山の引退馬、いったいどのような団体が開催しているのでしょうか?
主催者はRetired Racehorse Project(通称 RRP)という団体で、競馬引退後のサラブレッドの需要と価値を高める目的で2015年から開催されています。イベントの運営費用および賞金は、サラブレッド・チャリティー・オブ・アメリカという慈善団体を始め、60以上の関連企業参加や、50以上の企業スポンサーによって賄われています。
更にこのイベントは、引退馬のセカンドキャリアに必要不可欠である「調教師の教育の場」としても重要な役割を担っています。イベントにエントリーできる調教師は、プロだけでなく、ジュニア、アマチュア問いません。各地の調教師が一緒になって参加できるため、調教師同士の交流や意見交換の場にもなっているのです。
2020年で第6回目を迎えるこのイベントには、今年は既に600頭以上もの引退競走馬がエントリーされています。10月の開催に向け、今この瞬間も、アメリカ各地で引退馬がセカンドキャリアのために頑張っています。
参考:https://www.tbmakeover.org/
記事:YURIE KONO
大学でホースセラピーを学び、現在は馬の本場ヨーロッパでホースジャーナリストとして活動中。