引退馬支援
について

競馬は産業であり、大きな雇用も生み出し、国益にもなっている。簡単に否定するべきではない。だからこそ”サスティナブル”という言葉を私は使いたい。

サラブレッドには「サイクル」が存在する。その一方で「サイクル」から外れてしまった馬も存在する。2012 年の種付頭数は、約9,500 頭、このうち 約80%が受胎し、うち 約7,000 頭が生産された。種付から無事生産に至るまでの割合は 約70%で ある。生産された 約7,000 頭のうち、95%以上が馬主に売却される前に、血統を確定するための「血統登録」を受けた。

そして、1 歳から 2 歳の間に売却、育成、調教さ れた馬のうち約85%が競走馬とし て正式に登録された。

そして最終的に生産された馬のうち 約80%が「出走」のステージに立つことことになる。つまり、競走馬として生産されたサラブレッドのうち実に1,000頭以上が競走馬として出走さえ”できなかった” のだ。

期待を受けて生産されたものの買い手がつかなかった馬が大半を占めると考えられる。もちろん、怪我や病気で競走馬になれなかった馬もいると思うが、実際に支援しているゲヴュルツは健康であるにも関わらず競走馬として競馬場を駆け抜けたことは一度もない。ちなみにゲヴュルツの場合は競走能力が低いと判断された。

次に、2013 年に引退した競走馬の馬名登録抹消事由から、繁殖以外の道を見てみる。中央競馬の馬名登録抹消事由の割合は地方競馬への転厩が最も多く、続いて乗馬への転用、繁殖用馬として生産牧場及び種牡馬牧場で飼養される馬と続く。

多くの馬が中央競馬を引退した後、地方競馬 へと転厩する。次に、地方競馬における馬名登録抹消事由の割合を見てみると、地方競馬の馬名登録抹消事由の中で最も多いのは「時効」である。 これは、詳しい引退の理由が不明な馬のことである。

また中央、地方問わず、乗馬転用の割合は高く、乗馬が主な”セカンドキャリア”であると言われている。ここでは、乗馬転用と記録されたものが本当に乗用馬として活躍しているのかという一般的に疑問視されていることについては言及しないが上記のような内容は事実として受け止める必要はあると思う。

この課題に向き合い、競馬産業という経済活動を維持しながら各々が出来ることを少し考えてみる必要があるかもしれない。競馬は産業であり、大きな雇用も生み出し、国益にもなっている。簡単に否定するべきではない。だからこそ”サスティナブル”という言葉をここで私は使いたい。

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