引退馬のセカンドキャリア
戦略的にサラブレッド(引退競走馬)を活用できる環境をつくっていくことが重要である。現在、 サラブレッドの生産はグローバル化や大規模化の中で、中小生産牧場は深刻な危機にある。
しかし一方で、グロー バリゼーションの結果として、馬事文化としての側面、馬の持つ多面的な機能が注目されるように なっている。ホーストレッキングや乗馬といった 余暇・趣味の普及、乗馬療法としてのホースセラピー、ホースショーなどのイベント、催事の展開、これらを含め景観・観光牧場・牧草地の価値などがそれで ある。
そもそも日本の馬産は”サラブレッドの生産のみ”に特化しており、根本的に欧米とは異なる。
サラブレッドは、”競走馬”として生産され、日本の経済活動の一部を担っていることは間違いない。競馬産業で生活をする人は大勢いて、だからこそサラブレッド・引退競走馬たちを守る必要がある。また、長期的視点で考えた場合、一般世論が引退競走馬の事実を知り、拡散された時のリスクは高い。”競馬産業”自体を否定される可能性もある。
だからこそ、先手を打って引退競走馬たちの活動する場所をもっと増やしたり、引退競走馬の活躍を多くの人に知ってもらう必要がある。引退競走馬にも需要があるのだと。
しかし、現状をみると個別単独的な展開をしているに過ぎず、産業として文化としての広がりまで昇華されていない。これまで様々な振興策がなされてきたが、課題解決には至っていない。